本章名は,第1節の語にちなみ名付けられる。最初期の啓示の一つである。自然と変化に富む人間の行路とを,対照することによって,理解ある者に対し,来世への信仰が力強く教えられる。人間の歴史や伝統などの教訓は,心の広いものは滅びず,高慢なものは低下されることを示す。道徳の向上や精神的真実を求める場合,歴史はとかく特殊な見地で書かれて伝説の方が優ることがある。人間は自分の好運の道に背いて,群がりがちである。心の中の世俗的すべてのとらわれが無くなったとき,初めて真の栄光と偉大な御力を知り,アッラーの至愛と限りなき善美を悟ることになろう。これこそ天国の園の光である。
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。 本当にこの中には,分別ある者への誓いがあるではないか。
5 あなたはアッラーが,如何にアード(の民)を処分されたかを考えないのか,
6 これに類するものは,その国において造られたことはなかったではないか。
8 杭のぬしフィルアゥン(のことを考えないのか)。
10 これらは(凡て),その国において法を越えた者たちで,
11 それであなたの主は,懲罰の鞭をかれらに浴びせかけられた。
13 さて人間は主が御試みのため,寛大にされ恵みを授けられると,かれは,「主は,わたしに寛大であられます。」と言う。
15 だがかれを試み,御恵みを減らされる時は,「主はわたしを,軽視なさいます。」と言う。
16 断じていけない。いや,あなたがたは孤児を大切にしない。
17 主は,列また列の天使(を従え),来臨なされる。
22 また地獄は,その日(目の当たりに)運ばれ,その日人間は反省するであろう。だが反省したとて,どうしてかれのためになろうか。
23 かれは,「ああ,わたしの(将来の)生命のために,(善行を)貯えていたならば。」と言う。
24 それでその日,誰もなし得ない程の懲罰を加えられ,
25 (善行を積んだ魂に言われるであろう。)おお,安心,大悟している魂よ,
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